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밀당 (mildang):押して引いて、恋愛上級者の心理ゲーム

밀당

韓国ドラマを見ていると、こんな場面がよく出てきます。昨日まで優しく連絡を取り合っていた人が、今日は急に返信を遅らせ、相手はやきもきして自分から電話をかける……。友だちにこの状況を打ち明けると、こんな言葉が返ってきます。「あなた今、밀당 (mildang) されてるんだよ!」今日は、韓国の恋愛文化を理解するうえで欠かせないこの表現、밀당 (mildang) をじっくり見ていきましょう。

意味とニュアンス

밀당 (mildang)밀고 당기기 (milgo danggigi)、つまり「밀다(押す)」と「당기다(引く)」を縮めて作られた造語です。ドアを押したり引いたりするように、相手に近づいたかと思えばまた距離を置く、そんな行動を繰り返して関係の主導権を握ったり、相手の気持ちを確かめたりしようとする恋愛の駆け引きを意味します。

核心にあるニュアンスは「ほどよい押し引き」です。近づきすぎれば(引きすぎれば)相手は負担に感じ、離れすぎれば(押しすぎれば)気持ちが冷めてしまう。その間でバランスを取る技術だ、というわけですね。ですから、恋愛上手な人をほめて「밀당을 잘한다 (mildangeul jalhanda) =駆け引きが上手だ」と言ったり、逆に疲れてしまった人が「밀당은 지겨워 (mildangeun jigyeowo) =駆け引きはもううんざり」と言ったりもします。

最近では恋愛の枠を超えて、交渉や値切りにも比喩的に使われます。値段をめぐって売り手と買い手が互いに探り合っているとき、「둘이 밀당 중이다(二人は駆け引きの真っ最中だ)」と表現したりもするんですよ。

状況別・活用例文

状況1 ── 友だちに恋愛相談をするとき

가: 그 사람이 답장을 일부러 늦게 하는 것 같아. (geu sarami datjangeul ilbureo neutge haneun geot gata.) あの人、わざと返信を遅らせてる気がする。 나: 그거 완전 밀당이네. 너무 신경 쓰지 마. (geugeo wanjeon mildangine. neomu singyeong sseuji ma.) それ完全に駆け引きだね。あまり気にしないで。

相手のあいまいな態度を「밀당」というひと言で診断してあげる、いちばんよくある会話です。

状況2 ── 自分の恋愛スタイルを語るとき

나는 밀당을 못 해서 좋아하면 티가 다 나요. (naneun mildangeul mot haeseo joahamyeon tiga da nayo.) 私は駆け引きができないから、好きになるとぜんぶ顔に出ちゃうんです。

「밀당을 못 한다(駆け引きができない)」は、感情を隠せずに素直に表に出してしまう性格だという意味で、自己紹介でかわいらしく使われる表現です。

状況3 ── 値切りの場面にたとえるとき

사장님이랑 가격 밀당하다가 결국 만 원 깎았어. (sajangnimirang gagyeok mildanghadaga gyeolguk man won kkakkasseo.) 店長さんと値段の駆け引きをして、結局1万ウォン値切ったよ。

恋愛ではなく商取引でも、互いに有利な条件を狙って「押して引く」やり取りの過程を、機転をきかせて表現しています。

敬語・タメ口と、似た表現の比較

밀당 そのものは名詞なので格式とは関係ありませんが、文につく語尾によって話し方が変わります。

  • タメ口:밀당하지 마 (mildanghaji ma) =駆け引きしないで
  • 敬語:밀당하지 마세요 (mildanghaji maseyo) =駆け引きしないでください

似ているようで少しニュアンスの違う表現もあります。튕기다 (twinggida) は、相手の好意にわざとつれない態度で反応し「拒むふりをする」ほうに近く、간 보다 (gan boda) は「간을 본다(味見をする)」という言葉のとおり、相手の気持ちを確信できずにそっと探りを入れる行動を指します。밀당 はこの二つを包み込む、より戦略的で継続的な「過程」を指すという点で、カバーする範囲が広いのです。

文化的な背景

밀당 は、2000年代後半に韓国のドラマやバラエティ、恋愛リアリティ番組が流行するなかで広まった言葉です。とくに男女の微妙な心理戦を描くロマンティックコメディでは、定番の題材になりました。押して引いて揺れ動く二人の主人公を見て、視聴者がもどかしく思いながらも夢中になってしまう理由は、まさにこの「밀당の緊張感」にあります。

왜 나한테 자꾸 헷갈리게 굴어요? どうして私を何度も戸惑わせるんですか?

── ドラマ『도깨비(トッケビ)』(tvN、2016年)の登場人物たちが、互いの気持ちを確かめられずにやきもきする場面のように、밀당は「好きだけど、それを気取られるのは嫌」という、あのハラハラする感情をよく表しています。

ただ、最近の若い世代では「素直なのがいちばん」と、밀당を面倒なものととらえる空気もあります。だからこそ「나는 밀당 안 해 (naneun mildang an hae) =私は駆け引きはしない」というひと言が、かえって魅力的に聞こえたりもするんですね。

最後にクイズ

友だちが「好きな人の前で感情を隠せず、ぜんぶ表に出てしまう性格」だと自分を紹介しようとしています。下の空欄に入る言葉は?

나는 ______을(를) 못 해서 좋아하면 바로 티가 나. 私は______ができないから、好きになるとすぐ顔に出ちゃう。

(正解:밀당 (mildang) ── 駆け引きができないので、感情がそのまま表に出てしまう、という意味になります。)

今日の表現 밀당 (mildang)、みなさんは駆け引きが得意なほうですか、それとも苦手なほうですか?コメントで教えてくださいね!

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