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곱빼기 (gopppaegi) — 一つの器に二人前を盛る言葉

곱빼기

곱빼기 (gopppaegi) は、二人前の料理を一つの器に盛ったもの、さらに広く「二倍の分量」を指す言葉です。韓国の街の中華料理店に入って席に着くと、隣のテーブルからこんな注文が聞こえてきます。짜장면 곱빼기요 (jjajangmyeon gopppaegiyo)。しばらくすると、器は普通のものとまったく同じ大きさなのに、麺が山のようにそびえ立つジャージャー麺が運ばれてきます。値段は千ウォンから二千ウォンほど上乗せされるのが相場です。お腹がぺこぺこの日、韓国の人が真っ先に取り出す一語が、まさにこれです。

面白いのは、この言葉が器の外にも出ていくところです。仕事が二倍に増えた日、口座の残高が二倍になった日、時間が二倍かかった日にも、韓国の人は 곱빼기로 (gopppaegiro) と言います。ご飯茶碗から出発した言葉が、人生の分量を測る物差しへ移っていったわけです。だからこの言葉には、いつも少しの誇張と笑いがにじんでいます。「二倍」が電卓の言葉だとすれば、「곱빼기」は食卓の言葉なのです。

ニュアンスを一行でまとめると、こうなります。곱빼기 は話し言葉です。友達同士で、食堂で、軽くぼやいたり自慢したりするときに使います。文書や公式の発表ではあまり使いません。そして곱빼기には「きっかり2.0倍」という数学的な厳密さはありません。実際、곱빼기のジャージャー麺がぴったり二人前だということは、まずありません。「すごくたくさん、あふれるほど」に近い感覚です。

国立国語院の辞書で確かめる

国立国語院『韓国語基礎辞典』は、この単語の意味を二つに分けて載せています。

곱빼기「名詞」

  1. 二人前の食べ物を一つの器に盛ったもの。 [en] double portion — Two portions contained on one plate. [ja] おおもり【大盛り】 — 二人前の食べ物を一つの皿に盛り込むこと。 [es] doble, dos veces más — Lo que está puesto en un solo plato la porción que corresponde a dos platos. [zh] 双份 — 双份合成一碗。 ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

곱빼기「名詞」 2. 二倍の分量。 [en] double — A doubled quantity. [ja] 二倍の分量。 [es] doble, dos veces más — Cantidad doble. [zh] 加倍 — 增为两倍的量。 ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

(ポルトガル語訳は辞書に載っていないため、参考までに訳すと porção dobrada あたりになります。この一行は辞書の資料ではなく、こちらで独自に付けた訳です。)

1番は器の中の意味、2番は器の外の意味です。学習者が混乱するのはまさにここ。1番は名詞そのままで「곱빼기」を注文して食べますが、2番はほとんどいつも 「곱빼기로」 という副詞の形で現れます。辞書に収められた実際の用例を見ると、その違いがくっきりと浮かび上がります。

  • 곱빼기로 시키다. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

食堂で使う1番の意味です。곱빼기로 시키다 (gopppaegiro sikida) — 注文するときに量を二倍にしてもらうこと。中華料理店への電話注文で、そのまま耳にできる言い方です。

  • 곱빼기도 부족하다. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

곱빼기도 부족하다 (gopppaegido bujokada) — 二人前を盛ってもらっても足りない、という意味。一日中何も食べていない日や、激しく運動した日に、冗談半分本気半分で投げかける言葉です。助詞の「도」が付くことで「それすらも」という誇張が生まれます。

  • 응, 김 대리 업무까지 대신 하려니 일이 곱빼기로 많아졌어. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

ここからは2番の意味です。일이 곱빼기로 많아졌어 (iri gopppaegiro manajyeosseo) — 同僚が席を空けたせいで、その人の分まで背負い込んだ状況。文頭に「응」が付いていることからも分かるように、これは議事録に書く文ではなく、同僚と交わすぼやきです。

  • 부부는 열심히 일하며 저금을 했더니 어느 새 통장의 돈이 곱빼기로 늘었다. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

통장의 돈이 곱빼기로 늘었다 (tongjangui doni gopppaegiro neureotda) — 良いことにも使う、という証拠です。곱빼기は悪い意味だけを担う言葉ではありません。増えたものが仕事ならため息になり、お金なら笑顔になります。

  • 세탁기가 고장 나 직접 손으로 빨래를 하니 시간이 곱빼기로 걸렸다. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

시간이 곱빼기로 걸렸다 (sigani gopppaegiro geollyeotda) — 機械がやっていたことを手作業でやるはめになり、時間が二倍かかった状況。「お金・時間・仕事・重さ」のように量で測れるものには、たいてい何にでも付くと考えて大丈夫です。

実際の会話で見てみる

場面:エミリーの引っ越し当日。荷物をすべて運び入れ、まだ何一つ開けていないリビングの床に、二人でへたり込んでいます。ジュンギョンは携帯で近所の中華料理店の番号を探しているところ。

ジュンギョン: 짐 다 들어왔다. 이삿날엔 무조건 짜장면이지. 荷物は全部入ったな。引っ越しの日といえば、やっぱりジャージャー麺だろ。

エミリー: 완전 동의. 나 오늘 계단만 스무 번은 오르내렸어. 大賛成。私、今日だけで階段を二十回は上り下りしたよ。

ジュンギョン: 그래서, 뭐 시킬래? 난 짬뽕. で、何にする? 俺はちゃんぽん。

エミリー: 난 짜장면 곱빼기. 오늘은 일을 곱빼기로 했으니까 좀 먹어도 돼. 私はジャージャー麺の大盛り。今日は二倍働いたんだから、それくらい食べていいはず。

ジュンギョン: 야, 너 그거 다 못 먹어. 곱빼기 양 진짜 장난 아니야. おい、それ食べきれないぞ。ここの大盛りの量、マジで半端じゃないから。

エミリー: 무슨 소리야, 오늘은 곱빼기도 모자랄 것 같은데? 何言ってるの、今日は大盛りでも足りない気がするけど?

こう使うと不自然です

✗(ホテルのレストランで店員に)이 파스타 곱빼기로 주세요. ✓(街の中華料理店で)짜장면 곱빼기로 주세요. → 곱빼기は、中華料理店や粉食店のように麺やご飯を一つの器に盛って出す大衆食堂の注文用語です。コースで出てくる西洋料理店やホテルではそもそもそういう選択肢がないので、口にすると店員が一瞬固まってしまいます。そういう場では「量を少し多めにしていただけますか?」と尋ねるほうが自然です。

✗(四半期報告のプレゼンで)올해 매출이 곱빼기로 늘었습니다. ✓(四半期報告のプレゼンで)올해 매출이 두 배로 늘었습니다. ✓(終わったあと同僚に)야, 올해 매출 곱빼기로 늘었대. → 文法が間違っているわけではありませんが、場がずれています。「곱빼기로」はご飯茶碗から生まれた話し言葉なので、数字を扱う公式の発表に乗せると、軽くて締まりのない響きになります。書類や発表では「두 배로」、雑談では「곱빼기로」— この使い分けさえ守れば、ぐっと自然になります。

場面別の応用例文

① デリバリーアプリではなく電話で注文するとき

韓国の街の中華料理店は、今でも電話注文が多いです。このとき곱빼기はメニュー名の直後に付けます。

짜장면 하나 곱빼기로 하고, 탕수육 小자 하나 주세요. (jjajangmyeon hana gopppaegiro hago, tangsuyuk sojja hana juseyo.) ジャージャー麺を一つ大盛りで、酢豚は小サイズで、という注文です。

「곱빼기로 해 주세요 / 곱빼기로 주세요 / 곱빼기요」の三つとも使われます。いちばん短くてよく耳にするのは最後の形です。

② 残業が長引いた夜

팀장님 휴가 가시는 바람에 이번 주는 일이 곱빼기야. (timjangnim hyuga gasineun barame ibeon jueun iri gopppaegiya.) チーム長が席を空けたせいで、その分まで抱え込んだ一週間。同僚にタメ口で投げかけるぼやきです。ここでは「곱빼기로 많다」を縮めて「곱빼기야」と、述語のように使っています。

③ 良いことが重なったとき

친구 결혼식에서 오랜만에 대학 동기들까지 만나서 기쁨이 곱빼기였어. (chingu gyeolhonsigeseo oraenmane daehak donggideulkkaji mannaseo gippeumi gopppaegiyeosseo.) 結婚式というめでたい席に、思いがけない再会まで重なった状況。先ほど見た辞書の例文「통장의 돈이 곱빼기로 늘었다」と同じ系列で、곱빼기は良いことにもそのまま使えます。

敬語・タメ口と、似た表現

곱빼기は名詞なので、それ自体に敬意の高さはありません。敬語かどうかは、後ろに付く述語が決めます。食堂なら 곱빼기로 주세요 (gopppaegiro juseyo) が基本で、とても丁寧に言うなら 곱빼기로 부탁드립니다 (gopppaegiro butakdeurimnida)、友達同士なら 곱빼기로 시켜 (gopppaegiro sikyeo) になります。ただ、単語そのものの温度が「くだけた側」なので、かしこまった場にはそもそもあまり登場しません。

似ているように見える言葉との違いは、表で見ると一目瞭然です。

表現温度・強さ使う場面
곱빼기 (gopppaegi)口語的、人懐っこく誇張まじり中華料理店・粉食店での注文、友達や同僚との雑談
두 배 (du bae)中立的、計算的どこでも。文書・発表・ニュース
곱절 (gopjeol)古風で重々しい文章、演説、年配の人の言葉づかい。日常会話ではまれ
곱빼기로 (gopppaegiro)誇張したぼやき、または自慢「많다・늘다・걸리다・힘들다」の前。話し言葉専用
사리 추가 (sari chuga)実務的、中立的麺だけ追加してほしいときの注文。ラーメン・うどん・冷麺の店
특대 (teukdae)商品名に近いメニューに印刷されたサイズの等級

とくに混同しやすいのが「곱빼기」と「사리 추가」です。곱빼기は最初から二人前の量で盛られて出てくるもの、사리 추가は麺の玉だけを別に追加するもの。짜장면・짬뽕には곱빼기があり、부대찌개や냉면には사리 추가があります。メニューによって使う言葉が分かれるわけです。

文化背景 — 引っ越しの日のジャージャー麺一杯

まずは単語の成り立ちから見てみましょう。前half の「곱」は、곱절 (gopjeol)곱하기 (gopagi) の「곱」です。倍数を意味する古い固有語です。後ろの「-빼기」は名詞の後ろに付いて「そういう性質を持つもの」を表す接尾辞で、「코빼기」「밥빼기」といった語にも同じ部品が入っています。つまり곱빼기は、文字どおり「倍であるもの」なのです。ちなみに表記は 곱빼기 が正しく、「곱배기」は誤りです。韓国の人もよく間違えるところなので、外国人学習者が正確に書けると、かなり印象的に映ります。

곱빼기がとりわけ짜장면と結びついて回るのには理由があります。韓国の中華料理店は長いあいだ「速くて、腹いっぱいで、安い」食べ物の代名詞でした。引っ越しの日に荷物を運び終えて床に新聞紙を敷いて食べるジャージャー麺、卒業式の日に家族と食べた酢豚、試験が終わった日に友達と押しかけたあの店 — 곱빼기は、そういう日々の言葉です。お腹が空いている度合いを超えて、「今日は少し food べてもいい日だ」という自分への許可に近いのです。会話でエミリーが「오늘은 일을 곱빼기로 했으니까」と言ったのも、まさにその感覚です。

韓国ドラマにも中華料理店の場面は絶えず出てきます。引っ越した初日のがらんとした部屋の床で、残業中のオフィスの会議テーブルの上で、葬儀場の片隅で、登場人物たちはジャージャー麺の器を前にします。セリフを暗記しなくても構いません。ただ、誰かが器のふたを開けながら「곱빼기로 시켰어」と言ったなら、その人物が相手をどれだけ気にかけているかが、その一言に全部詰まっている — それだけ知っておけば十分です。韓国語では、食べ物の量はしばしば心の量なのです。

今日のクイズ

次の二つの文のうち、韓国の人が実際に使う自然なほうはどちらでしょう?

A.(街の中華料理店で席に着きながら)짜장면 곱빼기로 주세요. B.(四半期業績発表の場で役員たちに)올해 영업이익이 곱빼기로 늘었습니다.

… 考えてみましたか?

正解:A

Bも文法的に間違った文ではありません。辞書の2番の意味(「二倍の分量」)にぴったり合う用法でもあります。けれども곱빼기はご飯茶碗から生まれた話し言葉なので、役員の前での公式な発表には場が合いません。その場では「두 배로 늘었습니다」が適切です。発表が終わって同僚とコーヒーを飲みながら「올해 이익 곱빼기로 늘었다며?」と言うのなら、そのときは完璧に自然です。

今日学んだことを一文にまとめると、こうなります。곱빼기は器の言葉であり、器の言葉はくつろいだ場所で生きている。


この記事の語釈と例文は、韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr) から引用しました。当該部分(翻訳を含む)は CC BY-SA 2.0 KR ライセンスのもとで利用・配布されます。