最新の記事

数字の『하나』より広い:K-ドラマに毎日出てくる冠形詞『한』完全マスター

韓国ドラマやバラエティを見ていると、たった一文字の短いことばがひっきりなしに耳に飛び込んできます。「한 (han) 번만 더요!」(もう一回だけ!)、「딱 한 (han) 달만 기다려」(あと一ヶ月だけ待って)、「우리 이제 한 (han) 팀이야」(私たちはもう一つのチームだよ)のように。今日の表現は、まさにこの万能な一文字、한 (han) です。数字の 하나 (hana) から生まれましたが、実際の会話では数を数える以上にずっと幅広く使われる**冠形詞(かんけいし。名詞を飾ることばで、日本語の連体詞にあたります)**なんです。この一文字を自由に使いこなせるようになると、韓国語が急にぐっと自然になります。

いつ使うの?

한 (han) は後ろに来る名詞を修飾することばなので、いつも名詞の前につきます。大きく分けて四つの顔があります。①数字の「一つ(one)」、②「多くの中のどれか=ある(a certain ~)」、③「同じ(same)」、④時間・数量をざっくり見積もる「約(about)」。日本語に置き換えると、だいたい「一つの/ある/同じ/約」に当たります。(日本語訳は辞書に収録されていないため、独自に訳して記しました。)

国立国語院の辞書で確認しよう

韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』は 한 (han) を冠形詞と見て、四つの意味を整理しています。

한 (han)(冠形詞)

  1. 一つの。[en] one — One.
  2. 多くの中のどれか、ある。[en] one — One of many.
  3. 同じ。[en] one — Same. [es] igual, mismo.
  4. ざっと見積もっておおよそ。[en] approximate — From a rough guess. [es] aproximado, estimado. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

辞書が挙げている実際の例文を、原文のまま見ていきましょう。

민준이는 공부를 잘해서 한 번도 가를 받은 적이 없다. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

「ミンジュンは勉強がよくできるので、一度も『가(最低ランクの成績)』をもらったことがない」という文ですね。ここでの 한 번도 (han beondo) は「ただの一度も」という意味で、後ろに否定を伴って「絶対に〜したことがない」を強調します。意味①の代表的な使い方です。

지수는 입사한 지 한 달이 지났는데도 업무가 손에 익지가 않는다. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

「ジスは入社して一ヶ月経ったのに、仕事がなかなか手につかない」という文です。한 달 (han dal) は、きっちり30日を数えているのではなく、「だいたい一ヶ月くらい」という見当のニュアンス(意味④)が混ざっています。入社したばかりで、まだ仕事に慣れていない状況ですね。

지금 한 이야기가 사실이야? 도저히 믿을 수가 없어. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

「今言った話、本当なの? とても信じられない」という意味です。ここで注意! この文の は、今日学ぶ冠形詞ではなく、動詞 하다 (hada、する・言う) の活用形(「たった今 言った(=した)話」)なんです。音が同じ文字なので混同しやすいのですが、こうして区別しておくと実力が一段アップします。

場面別の活用例文(筆者オリジナルの文)

場面1 — カフェで注文するとき(数字の「一つ」)

아메리카노 한 (han) 잔 주세요.(アメリカーノを一杯ください。)— アメリカーノを一杯お願いするとき。잔(杯)・개(個)・명(名)のように数える語(単位名詞)の前で、 が最もよく使われます。

場面2 — うわさを伝えるとき(多くの中のどれか)

한 (han) 친구가 그러는데, 그 식당 진짜 맛있대.(ある友だちが言うには、あのお店、本当においしいんだって。)— 誰なのかをはっきり指さず、「ある友だち」とぼかして言うとき。英語の ‘a friend of mine’(友だちの一人)のような感覚です。

場面3 — チームワークを強調するとき(「同じ」)

힘들어도 우리는 한 (han) 마음이니까 끝까지 가자.(つらくても私たちは一つの心=同じ気持ちだから、最後まで行こう。)— 한마음 (hanmaeum) は「同じ心」。応援や会食、スポーツの応援コールに定番で登場します。

敬語・タメ口、そして似ていることば

한 (han) は冠形詞なので、敬語(존댓말 jondaenmal)・タメ口(반말 banmal)によって形が変わりません。文末の述語だけを変えればOKです。たとえば 한 잔 하실래요? (han jan hasillaeyo、敬語)한 잔 할래? (han jan hallae、タメ口) のように(どちらも「一杯どう?」)。

紛らわしいペアも整理しておきましょう。数字の 하나 (hana) は単独で使える名詞(사과 하나 sagwa hana「りんご一つ」)ですが、한 (han) は必ず名詞の前につきます(사과 한 개 sagwa han gae「りんご一個」)。また「約」の意味のときは、한 열 명쯤 (han yeol myeongjjeum、十人ほど) のように数字の前について「ざっと見積もって」を表すので、このときは「약(約)」と言い換えられます。

文化背景の話

韓国の人がとりわけ愛することばの一つが、한솥밥 (hansotbap、一つの釜で炊いたご飯) です。한솥밥을 먹는다 (hansotbabeul meokneunda)(同じ釜の飯を食う)というのは、同じ共同体として一緒に暮らす、という意味なんです。ここにも「同じ」を意味する が隠れていますね。ドラマの会食シーンで、先輩が新入りにお酒のグラスを差し出しながら「もう 한 식구 (han sikgu、一つの家族) になったね」と言う場面を思い浮かべてみてください。このように は単なる数字を超えて、「一つになること」、つまり情(정 jeong)や共同体の感覚までも包み込む、あたたかい一文字なのです。

今日のクイズ

次の空欄に入ることばは何でしょう?

친구를 처음 만난 지 이제 겨우 ( ___ ) 달밖에 안 됐어.

(友だちと初めて会ってから、まだたった( ___ )ヶ月しか経っていないよ。)正解は 한 (han)! 「だいたい一ヶ月くらい」という見当の意味(辞書の意味④)で使われています。今日学んだ四つの顔を思い出しながら、あなただけの を使った文もコメントで作ってみてくださいね。🌱


この記事の語釈と例文は、韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr) から引用しました。当該部分(翻訳を含む)は CC BY-SA 2.0 KR ライセンスのもとで利用・配布されます。

動画で見る