수록곡 (surokgok) — タイトル曲の陰に隠れている曲を指す言葉
수록곡
수록곡 (surokgok) は「アルバムに収められた曲」という意味です。一枚の音盤の中に入っている曲の一つひとつを指す言葉ですが、韓国の音楽ファンの間でこの単語が飛び出す場面は、ほぼ決まっています。テレビで一度も披露されなかった曲、ミュージックビデオもない曲、それなのにコンサートでは合唱がいちばん大きくなる曲 — タイトル曲の後ろで静かに立っていた曲たちを呼ぶときです。
韓国でアルバムが一枚出ると、活動はたいてい一曲だけでおこないます。その一曲が 타이틀곡 (taiteulgok)、つまりタイトル曲で、音楽番組のステージに立つのも、ミュージックビデオがつくのもその曲です。残りの曲は名札のないままアルバムの中に残ります。その「残り」を呼ぶ名前が 수록곡 (surokgok) です。厳密にいえばタイトル曲だってアルバムに収められているのですから수록곡で間違いないのですが、実際の会話で「이번 앨범 수록곡 좋더라 (ibeon aelbeom surokgok jodeora)」と言えば、聞いた人は十人が十人「タイトル曲じゃないほう」と受け取ります。辞書的な意味の範囲と、実際に使われる範囲がずれている。学習者が見落としやすいポイントです。
ですからこの単語には、ひとつ「温度」が乗っています。自慢の温度です。수록곡 (surokgok) の話を持ち出すということは、「私はこのアルバムをタイトル曲だけ聴いて済ませたりしていない」という意味であり、韓国のファンダムではこれはかなりはっきりした signal(合図)になります。だからファン同士では「何番トラックがいちばんいい」という言葉を、あいさつのようにやり取りします。その一方でこの言葉は感嘆詞でも流行語でもないので、あらたまった場でもそのまま使えます。アルバム紹介の記事にも、ラジオの司会者のコメントにも、同じ形で出てきます。熱い単語ではなく、あっさりした単語。熱いのは、使う人のほうなのです。
形を分解してみると、理解が早くなります。수록 (surok) は「集めて載せること」を意味する漢字語(收錄)で、もともとは本や文書に文章を載せるときに使う言葉でした。教科書に詩が載れば「교과서에 수록된 (surokdoen) 시」と言います。そこに歌を意味する 곡 (gok) がついたのですから、수록곡は文字どおり「載せられた歌」です。この感覚をつかんでおくと、このあと出てくる誤用の例が自然に解けます。載っていなければ、수록곡ではないのです。
実際の会話で見てみましょう
場面:コンサートが終わって地下鉄の駅へ歩いていく道。耳がまだじんじんしています。
エミリー: 아, 나 앙코르 때 그 느린 노래에서 진짜 울 뻔했어. ああ、私アンコールのあのスローな曲で本当に泣きそうだった。
ジュンギョン: 그거? 야, 그거 수록곡이야. 방송에서 한 번도 안 한 곡. あれ? あれ、アルバム収録曲だよ。テレビで一度もやってない曲。
エミリー: 진짜? 난 당연히 타이틀곡인 줄 알았지. 떼창 소리가 그렇게 큰데? ほんとに? 当然タイトル曲だと思ってた。みんなあんなに大合唱してたのに?
ジュンギョン: 원래 수록곡이 더 세. 팬들은 앨범 통으로 듣거든. 収録曲のほうが強いに決まってる。ファンはアルバムを丸ごと聴くからね。
エミリー: 어쩐지. 나 집 가서 처음부터 끝까지 다시 들어야겠다. どうりで。家に帰って最初から最後まで通して聴き直そうっと。
ジュンギョン: 그럼 3번 트랙부터 들어. 이 앨범 수록곡 중에 그게 제일이야. なら3番トラックから聴いて。このアルバムの収録曲の中ではあれが一番だから。
こう使うと不自然です
✗ 어제 공연 수록곡 목록 좀 알려 줘. ✓ 어제 공연 셋리스트 좀 알려 줘. → 수록곡は「アルバムに収められた」曲のことです。その日のステージで歌った曲とその順番は 셋리스트 (setliseuteu)(セットリスト)と言います。ライブでは収録曲も歌えばタイトル曲も歌うので、両方を同じ言葉でくくってしまうと、聞いた人がちょっと固まってしまいます。
✗ 이 곡, 유튜브에만 올라온 건데 올해 최고의 수록곡이야. ✓ 이 곡, 유튜브에만 올라온 건데 올해 들은 곡 중에 최고야. → 音盤に収められていない曲は수록곡にはなれません。載ってこその「수록」だからです。アルバムを伴わずに出した曲は 싱글 (single)、ドラマに使われた曲は OST と、別の呼び方をします。
場面別の活用例文
1. CDショップで友だちにアルバムをすすめるとき
타이틀곡도 좋은데, 저는 4번 수록곡이 제일 좋더라고요. (taiteulgok-do joeunde, jeoneun 4beon surokgok-i jeil joteoragoyo) タイトル曲もいいんですけど、私は4番の収録曲がいちばん好きでした。
「-더라고요」がつくと、「自分で実際に聴いてみたらそうだった」という個人的な経験のニュアンスになります。好みを押しつけずにおすすめする、とても韓国語らしい語尾です。
2. ファンコミュニティに感想を投稿するとき
이번 앨범은 수록곡이 다 좋아서 스킵할 곡이 하나도 없어. (ibeon aelbeom-eun surokgok-i da joaseo seukipal gogi hanado eopseo.) 今回のアルバムは収録曲が全部よくて、スキップする曲が一つもない。
「스킵할 곡이 없다(スキップする曲がない)」という表現は、アルバム全体を最後まで聴いた証として通じます。収録曲の話とほぼ一心同体のようにくっついて出てくる言い回しです。
3. ラジオやインタビューなど、あらたまった場で
이번 음반에는 신곡 여덟 곡이 수록되어 있습니다. (ibeon eumbaneneun singok yeodeol gogi surokdoeeo itseumnida.) 今回のアルバムには新曲が8曲収録されています。
名詞の수록곡ではなく動詞の 수록되다 (surokdoeda) を使うと、一気にフォーマルな響きになります。アルバムだけでなく本・辞典・論文集にもそのまま使える言葉なので、ひとつ覚えておくと応用範囲が広いです。
敬語・タメ口と似た表現
수록곡は名詞なので、それ自体に上げ下げはありません。語尾を差し替えるだけで大丈夫です。友だちには「이거 수록곡이야 (surokgogiya)」、目上の人や初対面の人には「이건 수록곡이에요 (surokgogieyo)」、放送や発表の場では「수록곡입니다 (surokgogimnida)」となります。単語自体を変える必要はありません。
混同しやすいご近所の単語は、こう分かれます。
| 表現 | 温度・強さ | 使う場面 |
|---|---|---|
| 수록곡 (surokgok) | あっさり・中立。熱いのは使う人のほう | アルバムに収められた曲。実際には「タイトル曲じゃない曲」の意味で通じる |
| 타이틀곡 (taiteulgok) | 中立 | アルバムの代表曲一曲。番組活動とミュージックビデオがつく曲 |
| 비사이드 / B사이드 (bi-saideu) | 少しマニアっぽい | 수록곡とほぼ同じ意味だが、音楽を深く掘る人たちの言い回し |
| 셋리스트 (setliseuteu) | 中立 | ライブで歌った曲とその順番。アルバムとは無関係 |
| 신곡 (singok) | 中立 | 新しく出た曲。アルバムに収録されているかどうかは関係ない |
文化背景 — 3番トラックの誇り
先に見たとおり、수록(收錄)はもともと本の言葉でした。詩が教科書に載り、論文が学術誌に載るときに使っていた単語が、レコードという「モノ」が生まれたことで歌にも引っ越してきたのです。だからこの言葉には「ひとまとまりの中に席を得た」という感覚が残っています。バラバラに漂っている曲ではなく、順番の決まった十数曲のうちの何番目かに座っている曲、という意味です。韓国のファンが曲名の代わりに「3번 트랙」「7번 트랙」と番号で呼びたがるのも、この感覚とつながっています。
韓国の音楽番組は、構造上どうしてもタイトル曲中心に回ります。カムバック週間にステージで披露される曲は一曲、多くて二曲。ですからアルバムの残り八、九曲は、最初から最後まで通して聴いた人だけが知る領域として残ります。「수록곡이 좋다(収録曲がいい)」という言葉が、ほめ言葉を超えて一種の「認証」のように聞こえるのは、ここに理由があります。アルバムを丸ごと聴くファンが特定のアーティストを指して 수록곡 맛집 (surokgok matjip) と呼ぶこともありますが、「맛집」はもともと料理のおいしい店を意味する言葉なので、「捨て曲のないアルバムを出すチーム」という冗談まじりの称賛です。
そこに韓国ならではの音源チャート文化が重なります。アルバムが出た直後、リアルタイムチャートの上位がそのアルバムの曲でずらりと埋まる現象を 줄세우기 (julsewugi、줄 세우기) と呼びますが、これはファンがタイトル曲だけを聴いたわけではないという、いちばん露骨な証拠です。そしてコンサートに行くと、順序がひっくり返ります。テレビで一度も見たことのない曲が始まった瞬間に客席がいちばん大きく揺れる — そんな光景は、韓国の会場では珍しくありません。さきほどの会話でジュンギョンが「원래 수록곡이 더 세」と言ったのは、誇張ではなく実感に近いのです。
韓国語を学ぶ立場から見て、この単語にはもうひとつありがたい点があります。수록곡を覚えると、수록되다、수록하다、수록 도서 まで一本の線で自然についてくるのです。K-POPから拾い上げた単語ひとつが、図書館でも論文集でもそのまま通用するということ。好きなところから出発した単語ほど、長く残ります。
今日のクイズ
友だちが昨日行ってきたコンサートで、どの曲をどんな順番で歌ったのか聞きたいと思っています。空欄に入る言葉はどれでしょう?
야, 어제 공연 ______ 좀 알려 줘!
① 수록곡 (surokgok) ② 셋리스트 (setliseuteu) ③ 타이틀곡 (taiteulgok)
正解:②
ライブで歌った曲とその順番を聞く場面なので、셋리스트 が正解です。①はアルバムに収められた曲を指す言葉なので、ステージで歌ったリストとは基準が違います。③はアルバムの代表曲一曲だけを指すので、「リスト」にはなりません。ただし答えを聞いたあとに「어? 그 곡 수록곡인데 불렀네?(え? あの曲、収録曲なのに歌ったんだ?)」と続けるなら、それはとても自然な韓国語です。
この記事の語釈・例文・会話シーンは、すべて筆者による創作です。