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선생님 (seonsaengnim) — 教室の外でこそよく耳にする呼び方

선생님

선생님 (seonsaengnim) は、学生を教える人を高めて呼ぶ言葉であり、同時に、ある人の姓や職業のあとに付けてその人を丁寧に立てる言葉でもあります。だからこの単語は、教室のドアを越えて外へ歩き出していきます。韓国で病院に行けば医師を 선생님 (seonsaengnim) と呼びますし、弁護士事務所でも、韓方医院でも、子どもの保育園でも同じ言葉が飛び交います。道で名前もまったく知らない大人に声をかけるときにも、この言葉が出てきます。韓国語を学ぶ人が最初に覚える単語なのに、いちばん長く混乱しつづける単語である理由がここにあります — 意味はひとつなのに、使われる場所が三つあるからです。

この単語は、はじめから敬語として生まれました。선생 (seonsaeng) だけでも単語としては成立しますが、実際に人を呼ぶときはほとんどいつも尊敬の接尾辞 -님 (-nim) を付けて 선생님 (seonsaengnim) と言います。そして、この言葉が文に入ってくると、周りの文法までまるごと引き上げられます。主格助詞は 선생님이 (seonsaengnimi) から 선생님께서 (seonsaengnimkkeseo) へ、与格助詞は 선생님에게 (seonsaengnimege) から 선생님께 (seonsaengnimkke) へ変わり、述語も 말했다 (malhaetda) ではなく 말씀하셨다 (malsseumhasyeotda) になります。つまり、この単語を使った瞬間に文全体が敬語モードへ切り替わる、と考えてよいでしょう。

二つ目の場所は、姓や職業のあとに付く位置です。김 선생님 (Gim seonsaengnim) のように姓のあとに付ければ、相手の名前を呼びながら礼儀も保てますし、相手が教師でなくてもかまいません。三つ目の場所が、学習者にはいちばん馴染みのないところです。名前も職業も知らない、年配の人に声をかけなければならないとき、저기요 (jeogiyo) は少しそっけなく聞こえます。そんなときに 선생님 (seonsaengnim) を使うと、相手をひと段上げて丁重に扱う言葉になります。相手は教師でも医師でもありませんが、その瞬間のこの言葉は英語の「Sir/Madam」に近いのです。

国立国語院の辞典で確認する

国の機関の辞典がこの言葉をどう切り分けているか、そのまま見てみましょう。見出し語は名詞 선생님 (seonsaengnim) で、語義は三つです。

선생님 「명사」 ① (높이는 말로) 학생을 가르치는 사람. [en] teacher; master — (polite form) A person who teaches students. [ja] せんせい【先生】 — 生徒を教える人を敬っていう語。 [es] profesor — (EXPRESIÓN DE RESPETO) Persona que enseña a los alumnos. [zh] 老师,教师 — (敬语)教授学生的人。 ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

선생님 「명사」 ② 어떤 사람의 성이나 직업에 붙여 그 사람을 높이는 말. [en] Mr.; Ms. — A word attached in front of a person’s family name or occupation to address him/her politely. [ja] せんせい【先生】 — 名字や職業などに付けて敬称として使う語。 [es] señor — Dícese de expresión de respeto para llamar a alguien, seguida de su apellido o profesión. [zh] 先生 — 加在某人的姓氏或职业之后,以表示对其的尊敬。 ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

선생님 「명사」 ③ (높이는 말로) 나이가 어지간히 든 사람을 대접하여 이르는 말. [en] Sir; Madam — (polite form) A word used to refer to an aged person respectfully. [ja] せんせい【先生】 — 年配の人を敬っていう語。 [es] señor — (EXPRESIÓN DE RESPETO) Palabra que se usa para aludir respetuosamente a alguien de edad más o menos mayor. [zh] 先生 — (敬语)对上了一定年纪的人的敬称。 ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

ポルトガル語の語釈は、上の辞典には収録されていません。参考として私たちが訳すなら、①は professor(a) — pessoa que ensina alunos (tratamento respeitoso)、②・③は senhor / senhora といったところになります。このポルトガル語の部分だけは辞典の原文ではなく、私たちの翻訳であることをお断りしておきます。

同じ辞典に載っている実際の用例も、あわせて見てみましょう。以下の五つの文は、すべて辞典からそのまま引いたものです。

수학 선생님께서 숙제를 내주셨는데 가감승제 문제가 삼십 개나 되었다. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

Suhak seonsaengnimkkeseo sukjereul naejusyeonneunde gagamseungje munjega samsip gaena doeeotda.

「数学の先生が宿題を出してくださったのですが、加減乗除の問題が三十個もありました」— 宿題が多すぎるとぼやく学生の言葉です。ここで注目したいのは 선생님께서 (seonsaengnimkkeseo) です。선생님이 (seonsaengnimi) ではなく -께서 が付いていて、そのため後ろの動詞も 내주셨는데 (naejusyeonneunde) と敬語になっています。先ほどお話しした「敬語モードへの切り替え」が、そのまま目に見える文です。

김 선생님은 마흔 가까이 되어 보였다. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

Gim seonsaengnimeun maheun gakkai doeeo boyeotda.

「キム先生は四十近くに見えた」— 二つ目の語義の典型例です。姓の 김 (Gim) のすぐあとに 선생님 が付いています。この文だけでは、この人が学校の教師なのか病院の医師なのかは分かりませんし、分かる必要もありません。韓国語で姓のあとに 선생님 を付けるのは「名前を呼びつつ礼儀を尽くす」という意味であって、職業を明かすことではないからです。

선생님이 학생 이름을 가나다순으로 배열해 번호를 매겼다. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

Seonsaengnimi haksaeng ireumeul ganadasuneuro baeyeolhae beonhoreul maegyeotda.

「先生が学生の名前をカナダラ順(ハングルの五十音順にあたるもの)に並べて番号を付けた」— 学期はじめの教室の風景です。前の例文と違って、ここでは 선생님이 (seonsaengnimi) と、普通の主格助詞が付いています。出来事を淡々と述べる文章では、こう書くこともあるのです。つまり -님 が付いたからといって、必ず -께서 まで行かなければならないわけではありません。話し手がその場でどれくらい相手を高めているか、という問題なのです。

선생님 목소리는 너무 가늘어서 교실 뒤에서는 잘 들리지 않는다. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

Seonsaengnim moksorineun neomu ganeureoseo gyosil dwieseoneun jal deulliji anneunda.

「先生の声は細すぎて、教室の後ろではよく聞こえない」— 後ろの席に座った学生のぼやきです。선생님 목소리 (seonsaengnim moksori) のように、助詞 -의 (-ui) を挟まず名詞をそのままつなげるほうが、話し言葉ではずっと自然です。

우리는 김 선생님의 생각을 전혀 가늠할 수 없었다. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)

Urineun Gim seonsaengnimui saenggageul jeonhyeo ganeumhal su eopseotda.

「私たちはキム先生の考えをまったく推し量ることができなかった」— 逆にこの文は文語体なので、-의 (-ui) を生かしています。腹の内が読めない大人をめぐって、学生たちがひそひそ話している場面が浮かんできます。

実際の会話で見る

状況:近所の内科の待合室。風邪が二週間たっても抜けないので、二人で一緒に来ました。受付を終えたばかりのところです。

ジュンギョン: 너 아까 접수할 때 “박 선생님한테 볼게요” 하던데, 의사 이름을 어떻게 알아? さっき受付で「パク先生に診てもらいます」って言ってたけど、お医者さんの名前、どうして知ってるの?

エミリー: 저번에 왔을 때 명패 봤지. 근데 의사한테 선생님이라고 하는 거, 나 처음엔 진짜 헷갈렸어. この前来たときに名札を見たの。でもお医者さんを「선생님」って呼ぶの、正直、最初は本当にこんがらがった。

ジュンギョン: 그치. 학교 밖에서 더 많이 써. 변호사, 약사, 한의사… 성 뒤에 붙이면 다 돼. でしょ。むしろ学校の外でのほうがよく使うんだ。弁護士、薬剤師、韓方医…姓のあとに付ければ、全部いける。

エミリー: 아, 근데 아까 저 어르신은 나한테도 “선생님, 이쪽에 앉으세요” 하시더라. 나 선생 아닌데? あ、でもさっきあのご年配の方、私にも「선생님、こちらにお座りください」って言ってた。私、先生じゃないのに?

ジュンギョン: 그건 그냥 높여 부른 거야. 이름 모르는 어른한테 “저기요”보다 훨씬 정중하거든. あれは単に相手を立てて呼びかけただけだよ。名前を知らない人に「すみません」って言うより、ずっと礼儀正しいからね。

エミリー: 아하. 그럼 나도 너한테 써 볼까? 준경 선생님, 물 좀 떠다 주세요. なるほど。じゃあ私もあなたに使ってみようかな。ジュンギョン先生、お水を汲んできてくださいませ。

ジュンギョン: 야, 그건 놀리는 거잖아. おい、それはからかってるだけだろ。

こう使うと不自然です

✗(自己紹介)안녕하세요, 저는 영어 선생님이에요. ✓(自己紹介)안녕하세요, 저는 영어를 가르쳐요. / 저는 영어 교사입니다. → 선생님 は他人を高める言葉なので、自分自身に使うと自分を持ち上げる形になってしまいます。自分の職業を言うときは -님 を取った 교사 (gyosa) を使うか、いっそ「가르쳐요(教えています)」とほどいて言いましょう。

✗(大学の講義室で指導教授に)선생님, 이번 과제 언제까지예요? ✓(大学の講義室で指導教授に)교수님, 이번 과제 언제까지예요? → 文法はまったく問題なく、失礼でもないのですが、大学では 교수님 (gyosunim) が正確な位置です。선생님 と呼ぶと、相手の肩書きをひと段下げて呼んだ印象を与えます。逆に、小・中・高の教師に「교수님」と言うのも、これはこれで外れてしまいます。

場面別の応用例文

① 病院に電話で予約するとき — 診てもらいたい医師を指名する場面です。名前が分かっていれば、姓のあとに付けます。

안녕하세요, 이번 주에 박 선생님 진료 예약 되나요?

Annyeonghaseyo, ibeon jue Bak seonsaengnim jillyo yeyak doenayo? — 「こんにちは、今週、パク先生の診察を予約できますか?」

② 道で知らない年配の人が何かを落としたとき — 名前も職業も分かりませんが、自分よりずっと年上の人です。ここが辞典の語義③の生きる瞬間です。

선생님, 잠깐만요. 이거 떨어뜨리셨어요.

Seonsaengnim, jamkkanmanyo. Igeo tteoreotteurisyeosseoyo. — 「あの、ちょっとすみません。これ、落とされましたよ。」

③ 卒業して数年後、恩師に連絡するとき — 韓国では卒業したあとも、昔の担任をずっと 선생님 と呼びつづけます。学生でなくなっても、呼び方は一生ついてまわるのです。

선생님, 저 기억하세요? 2015년에 3반이었던 지수입니다.

Seonsaengnim, jeo gieokhaseyo? Icheonsibonyeone sambanieotdeon Jisuimnida. — 「先生、私のこと覚えていますか? 2015年に3組だったジスです。」

敬語・タメ口と似た表現

表現温度・強さ使う場面
선생님 (seonsaengnim)丁寧で安全な基本形教師・医師・弁護士・薬剤師、名前を知らない年長者。ほとんどどんな場面でも無難
쌤 (ssaem)親しみがあって軽い学生同士で教師の話をするとき、とても親しい間柄。公式の場や文書には使わない
교수님 (gyosunim)格式のある敬称大学教授に限定。小・中・高の教師には不自然
선생 (seonsaeng)-님 が抜けて距離感が出る。ときに見下す響き第三者を描写する文語体。面と向かって呼ぶと失礼に聞こえることも
-씨 (-ssi)中立、対等同年代・職場の同僚。年齢や地位が上の人には使わない

表のなかでいちばん気をつけたいのは 선생 (seonsaeng) の欄です。辞典の見出し語は 선생님 ですが、-님 を取った瞬間に温度がぐっと下がります。ニュース記事や小説では「김 선생은 평생 아이들을 가르쳤다(キム先生は生涯、子どもたちを教えた)」のように自然に使われますが、同じ言葉を相手の前で「김 선생, 이리 와 보세요」と言うと、相手を下に置いて呼ぶ印象になってしまいます。学ぶ立場としては、-님 を付けた形だけを使うほうが安全です。

文化背景 — 先に生まれた人

선생 (seonsaeng) は漢字語の「先生」です。先んじる 선(先)、生まれる 생(生) — 文字どおり「先に生まれた人」です。ここに尊敬の接尾辞 -님 (-nim) が付いて 선생님 になりました。この成り立ちを知ると、なぜこの言葉が教室の外でも使われるのかが一気に腑に落ちます。そもそも「教える職業」を指す言葉ではなく、「自分より先に生きてきた人」を高める言葉だったからです。辞典の三つ目の語義、つまり年配の人を立てて呼ぶ使い方は、無理に広がったものではなく、もとの意味にいちばん近い場所だと言えるでしょう。

同じ漢字を使う隣の国と比べると、違いはさらにはっきりします。日本語の せんせい(先生) は韓国語とほとんど重なっていて、教師にも医師にも使いますが、中国語では枝分かれします。上の辞典の訳を見ると、一つ目の語義は 老师・教师、二つ目と三つ目の語義は 先生 と訳されています。つまり中国語の「先生」は「〜さん、Mr.」に近く、教師の意味は持たないのです。漢字が同じでも意味は同じではない — そのことを、この一語がよく示してくれます。

韓国ドラマを見ていると、この呼び方の重さがしばしば物語の軸になります。学校を舞台にした作品では、学生が教師を 선생님 と呼ぶ瞬間と と呼ぶ瞬間の距離が、二人の関係をそのまま映し出します。医療ドラマでは、後輩の医師が先輩の医師を 선생님 と呼びながら、そこに尊敬と怖さを同時に込め、やがてある場面で声が揺れるだけで、関係が変わったことを知らせます。セリフをそのまま訳さなくても、この単語が出てくる場面を字幕なしで聞いてみると、温度の差が耳に届きます。韓国語において呼称は、情報ではなく関係の宣言なのです。

今日のクイズ

はじめて行く近所の薬局で、はじめて会う薬剤師に薬の飲み方を尋ねようとしています。いちばん自然なのはどれでしょう?

  1. 약사씨, 이 약 하루에 몇 번 먹어요?
  2. 선생님, 이 약 하루에 몇 번 먹어요?
  3. 저기 약사, 이 약 하루에 몇 번 먹어요?
答えを見る

正解:2番。 名前を知らない専門職の人に呼びかける場面で、선생님 (seonsaengnim) はいちばん安全な選択です。약사님 (yaksanim) も同じくらい自然なので、どちらを使ってもかまいません。

1番が不自然なのは、-씨 (-ssi) が対等な間柄で使う呼び方だからです。はじめて会う専門職の人に使うと、失礼に聞こえてしまいます。3番は職業名を -님 なしでそのまま呼んでいます。先ほど見た 선생 と同じ問題で、相手を下に置いて呼ぶ印象になります。韓国語で見知らぬ人に呼びかけるときの基本は、いつでも -님 を付けるほう — そう覚えておきましょう。

この記事の語釈と例文は、韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr) から引用しました。当該部分(翻訳を含む)は CC BY-SA 2.0 KR ライセンスのもとで利用・配布されます。