삼겹살 (samgyeopsal):韓国人が愛する「三枚重ねのお肉」
焼き肉屋さんの前を通りかかったときに、ふわっと鼻先に飛び込んでくる匂い。鉄板の上でジュージューと焼けていく音。そして友だちと車座になって、グラスを合わせる風景。韓国の会食や週末の夜を思い浮かべると、ほぼ必ず登場する食べ物がひとつあります。それが今日の表現、삼겹살 (samgyeopsal) です。ドラマで、大変な一日を過ごした登場人物たちが「우리 삼겹살에 소주 한잔? (uri samgyeopsare soju hanjan?)」=「サムギョプサルでソジュ一杯やる?」と言って集まってくる場面、一度は見たことがあるのではないでしょうか。韓国語を学んでいるみなさんは、この単語ひとつ知っているだけで、韓国の人との食事の席がぐっと身近になりますよ。
삼겹살
삼겹살 (samgyeopsal) は、文字どおりにほどくと「三枚の層(삼겹, samgyeop)になったお肉(살, sal)」という意味です。豚のお腹の部分(胸のあたり)で、脂身と赤身が層になって三重に重なっている部位を指します。白い脂と赤い肉が交互に現れるこの模様から、「삼겹」という名前がつきました。
ニュアンスを見ていくと、삼겹살は単なる「肉の部位」以上の意味を持っています。鉄板で自分たちの手で焼いて食べる 구이 (gui, 焼いて食べること) の文化、みんなで分け合って食べる情(정)、素朴だけれど満ち足りた一食を象徴する言葉なのです。ですから「삼겹살 먹자 (samgyeopsal meokja)」というひとことは、しばしば「一緒に時間を過ごそうよ」という誘いの意味としても受け取られます。
国立国語院の辞書で確かめる
まずは、公的な国の機関による語釈から確認してみましょう。
삼겹살(名詞):脂身と赤身が三層になっている、豚の胸の部分の肉。 [en] samgyeopsal; grilled pork belly [zh] 五花肉 — 肥瘦间隔而成三层的猪胸肉。 ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)
ポルトガル語訳は辞書に収録されていないため、参考として筆者が自分で訳しておきます(自己翻訳):panceta de porco grelhada — carne da barriga do porco com três camadas de gordura e carne.
辞書に載っている実際の用例も、あわせて見てみましょう。
고깃집 앞을 지나가자 삼겹살 굽는 냄새 때문에 더욱 배가 고파졌다. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)
「焼き肉屋の前を通りかかったら、サムギョプサルを焼く匂いのせいでいっそうお腹が空いてきた」という一文。匂いだけで食欲がぐっとわいてくる場面ですね。삼겹살の「匂い」がどれほど強い誘惑なのかがよく伝わってきます。
그는 평상을 펴고 앉아 불판에 삼겹살을 굽고 있다. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)
「彼は平床(평상)を広げて座り、鉄板でサムギョプサルを焼いている」。庭先や平床で自分たちで焼いて食べる、くつろいだ、そして情のこもった風景です。
응. 삼겹살을 구워 먹을 때 쌈을 싸 먹게 깻잎을 좀 사 오렴. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)
「うん。サムギョプサルを焼いて食べるとき、包んで食べられるようにエゴマの葉を少し買ってきてね」。삼겹살は 쌈 (ssam, 野菜に包んで食べること) と切っても切れない関係です。깻잎(エゴマの葉)やサンチュに包んで食べるスタイルを、自然に教えてくれる例文ですね。
삼겹살에 김치를 같이 먹으면 얼마나 맛있다고요. ── 韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr)
脂ののったお肉と、酸味のきいたキムチの相性のよさを強調する一文です。文末の「-다고요」は、相手においしさを力説しながらすすめるときの言い方になります。
場面別の応用例文(筆者オリジナル)
場面1 — 友だちを夕食に誘うとき 오늘 저녁에 삼겹살 어때? (oneul jeonyeoge samgyeopsal eottae?) — 「오늘 저녁에 삼겹살 먹는 거 어때?(今日の夕飯、サムギョプサルはどう?)」を短くした、気軽な誘い方です。友だち同士でとてもよく使われます。
場面2 — お店で注文するとき 여기 삼겹살 이 인분 주세요. (yeogi samgyeopsal i inbun juseyo.) — 삼겹살は普通、인분 (inbun, 〜人前という単位) で注文します。二人で行くなら、2〜3人前を頼むのが定番です。
場面3 — 会食の席で 삼겹살에 소주 한잔하면 스트레스가 풀려요. (samgyeopsare soju hanjanhamyeon seuteureseuga puryeoyo.) — お肉とソジュを一緒に楽しみながら一日の疲れをほぐす、という韓国の職場文化の一面がにじむ表現です。
丁寧語・タメ口と、似た表現の比べ方
同じ誘いでも、相手によって言い方は変わります。友だちには 삼겹살 먹자! (samgyeopsal meokja!) のようにタメ口(반말)で、目上の人やお客さまには 삼겹살 드시겠어요? (samgyeopsal deusigesseoyo?) のように丁寧語(존댓말)で言ってみましょう。「먹다(食べる)」の尊敬語が「드시다」であることも、あわせて覚えておくと便利です。
似ているお肉の表現も知っておきましょうか。목살 (moksal) は豚の首の部位で脂が少なめ、오겹살 (ogyeopsal) は皮までついた五層の部位です。こうした焼き肉屋の文化全体をまるごと指す言い方としては、고기 굽다 (gogi gupda, 肉を焼く) や 삼겹살 파티 (samgyeopsal pati, サムギョプサルパーティー) といったカジュアルな表現もよく使われます。
文化的な背景
삼겹살は韓国の人の日常に深く染みこんでいて、毎月3日を「삼(3)겹살デー」と呼んで軽く楽しむ人がいるほどです。ドラマの中でも、삼겹살の席はいつも「心を開く場所」として描かれます。たとえば、疲れきった登場人物たちが鉄板を囲んで座り、お互いの本音を打ち明ける場面は、わざわざセリフを引用しなくても、韓国の視聴者なら誰もが思い浮かべるおなじみの情景です。肉を焼きながら交わす会話、グラスを満たしてあげる手つき。そのなかに「一緒にいる」という価値が込められています。だから삼겹살は、食べ物であると同時に、人と人の関係を語る言葉でもあるのです。
まとめクイズ
Q. 友だちにタメ口で「우리 삼겹살 먹자! (uri samgyeopsal meokja!)」と言いました。では、会社の上司に同じ提案を丁寧語で伝えるとしたら、どう言えばよいでしょうか?
(解答例:삼겹살 드시겠어요? (samgyeopsal deusigesseoyo?) — 「먹다」を尊敬語の「드시다」に変えて、丁寧にすすめる表現です。)
この記事の語釈と例文は、韓国国立国語院『韓国語基礎辞典』(krdict.korean.go.kr) から引用しました。当該部分(翻訳を含む)は CC BY-SA 2.0 KR ライセンスのもとで利用・配布されます。